特定技能は2018年12月8日に「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が可決・成立され、2019年4月1日に施行されました。「技能実習」は、特定の業種で学んだ技術を本国に持ち帰ることを目的として、日本で学ぶ制度なので、実質的な労働力にはなれない部分がありました。現在も中小企業や小規模事業者をはじめ、深刻な人手不足となっています。この状況を解決するものとして生まれたのが、在留資格「特定技能」です。
特定技能は、現在、特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。特定技能1号が「一定の知識や経験を要する業務」を行う外国人が対象であるのに対し、特定技能2号は「熟練した技能を要する業務」を行う外国人が対象となっています。また、特定技能1号を持つ外国人労働者は、日本に滞在できる期間が最長5年であるのに対し、特定技能2号を持つ外国人労働者は最長3年の在留資格を何度も更新できるため、在留期限が存在しないと言えます。特定技能1号では家族(配偶者と子供)を日本に連れてきて暮らすことが不可能ですが、特定技能2号では家族を呼ぶことができます。また、特定技能1号の外国人を採用する場合、企業は登録支援機関等の設置を求められますが、特定技能2号の場合は支援機関の設置は不要です。
「特定産業分野」の定義は、簡単に言えば「日本人だけでは人手不足が解消できない分野の仕事」になります。現在特定技能1号は14業種、特定技能2号は2業種が指定されています。まずは特定技能1号について御紹介致します。
特定技能1号
介護

分野所管行政機関: 厚生労働省
[従事できる業務内容]
・身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事,排せつの介助等)のほか, これに付随する支援業務(レクリエーションの実施,機能訓練の補助等)※訪問系サービスは対象外
受入れ見込人数:60,000人 ※2019年~5年間(最大値)
特定技能の産業分野では、受け入れ見込み数が1番多い分野です。これからの日本社会を考えると人材不足は深刻で、向こう5年間で約30万人くらいの人手不足が見込まれています。最も人材確保が必要な分野だと言えます。今回、新たな在留資格「特定技能」で介護職の受け入れが可能となったため、現在日本で介護職の外国人を受け入れできる在留資格は、EPA、留学生、技能実習制度、特定技能の4種類となります。介護人材の処遇改善については、これまでの合計で月額5万7,000円の改善に加え、2019年10月からは、「新しい経済政策パッケージ」(2017年12月9日閣議決定)に基づき、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士に月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1,000億円程度を投じ、更なる処遇改善を行い、他産業と遜色のない賃金水準を目指しています。(※介護福祉士の候補者は一定の条件を満たせば特定技能1号へ移行が可能で、看護師の候補者もまた特定技能1号への移行が可能となる見込みです。)
ビルクリーニング

分野所管行政機関: 厚生労働省
[従事できる業務内容]
・建築物内部の清掃〔1試験区分〕
受入れ見込人数:37,000人 ※2019年~5年間(最大値)
他の業種とは違って高齢者雇用を推進している分野で、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が高齢者雇用ガイドラインを施策して人材の確保に動いています。なかなか人材確保ができていないため、技能実習、特定技能ので人材確保を補っていくことになります。
素形材産業

分野所管行政機関: 経済産業省
[従事できる業務内容]
・鋳造、金属プレス加工、仕上げ、溶接、鍛造、工場板金、機械検査、ダイカスト、めっき、機械保全、機械加工、アルミニウム陽極酸化処理、塗装〔13 試験区分〕
受入れ見込人数:21,500人 ※2019年~5年間(最大値)
日本の製造業の根幹を担っている非常に重要な産業分野で、都道府県での働き口が多く、需要が非常に高いのですが、それに対する供給(労働力)が追い付いていない分野です。素形材産業を持続市発展させるためには、この産業について一定の専門性・技能を有する外国人材が必要となっています。そこで、新たに加えられることとなった枠組みです。
産業機械製造業

分野所管行政機関: 経済産業省
[従事できる業務内容]
・鋳造、塗装、仕上げ、電気機器組立て、溶接、鍛造、鉄工、機械検査、プリント配線板製造、工業包装、ダイカスト、工場板金、機械保全、プラスチック成形、機械加工、めっき、電子機器組立て、金属プレス加工〔18 試験区分〕
受入れ見込人数:5,250人 ※2019年~5年間(最大値)
産業機械製造業は、日本社会の公共設備(インフラ)や幅広い産業への生産財を供給する分野です。製造業の根幹を担う、我々の国民生活には絶対に欠かせない分野ですが、このままでは5年後には7.5万人ぐらい人手が不足すると見込まれている分野です。
電気・電子情報関連産業

分野所管行政機関: 経済産業省
[従事できる業務内容]
・機械加工、仕上げ、プリント配線板製造、工業包装、金属プレス加工、機械保全、プラスチック成形、工場板金、電子機器組立て、塗装、めっき、電気機器組立て、溶接〔13 試験区分〕
受入れ見込人数:4,700人 ※2019年~5年間(最大値)
幅広く関連する電子機器へ部品を供給する分野で、特に自動車などの電動化に伴う電子部品の需要が高まり、労働力需要が拡大している分野です。このままだと5年後には約6万2,000人ぐらいの人手不足になるだろうと見込まれています。
建設業

分野所管行政機関: 国土交通省
[従事できる業務内容]
・型枠施工、土工、内装仕上げ/表装、左官、屋根ふき、コンクリート圧送、電気通信、トンネル推進工、鉄筋施工、建設機械施工、鉄筋継手〔11 試験区分〕
受入れ見込人数:40,000人 ※2019年~5年間(最大値)
東京オリンピックによる観光、商業施設などの建設ラッシュが続いている建設業界ですが、各都道府県別に見ても需要率が非常に高い分野となっています。2020年2月28日には、従来の11対象職種に加え、新たに7職種が追加されました。
造船・舶用工業

分野所管行政機関: 国土交通省
[従事できる業務内容]
・溶接、仕上げ、塗装、機械加工、鉄工、電気機器組立て〔6試験区分〕
受入れ見込人数:13,000人 ※2019年~5年間(最大値)
他の業種と比べて地方(瀬戸内や九州などの港運業が発達している地区)での人材不足が極めて高い分野です。造船・舶用工業は、地元に密着しながら仕事をするため、どうしても安定した雇用が難しくなる傾向にあります。現状として、少子高齢化・生産年齢人口減少だけではなく、若者が都市圏に就労する流れがあるため、日本人の若手就労者の確保に苦労しており、外国人の人材に頼ろうとしています。
自動車整備

分野所管行政機関: 国土交通省
[従事できる業務内容]
・自動車の日常点検整備,定期点検整備,分解整備〔1試験区分〕
受入れ見込人数:7,000人 ※2019年~5年間(最大値)
整備要員の平均年齢が上昇している上に若者のクルマ離れなどが加わり、非常に人材が不足しており、外国人の助けが必要な分野です。自動車整備士が高齢化している一方で、自動車整備士を目指す若者が減少しているので、車社会が続く限り必要な分野です。
航空業

分野所管行政機関: 国土交通省
従事できる業[務内容]
・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)
・航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)〔2試験区分〕
受入れ見込人数:2,200人 ※2019年~5年間(最大値)
近年の訪日外国人観光旅行者の増加やLCC(格安航空会社)により、需要が拡大している産業でしたが、コロナの影響により大きく変化している分野です。
宿泊業

分野所管行政機関: 国土交通省
[従事できる業務内容]
・フロント、企画・広報,接客,レストランサービス等の宿泊サービスの提供〔1試験区分〕
受入れ見込人数:22,000人 ※2019年~5年間(最大値)
近年の訪日外国人観光旅行者数の増加による人材が不足していた分野です。しかし、これも航空業と同じようにコロナの影響により大きく変化している分野です。
農業

分野所管行政機関: 農林水産省
[従事できる業務内容]
・耕種農業全般(栽培管理、農作物の集出荷・選別等)
・畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)〔2試験区分〕
受入れ見込人数:36,500人 ※2019年~5年間(最大値)
農業は、いちはやく外国人材の受け入れに取り組んできた分野の1つです。
IT化が進んではいますが、手作業や選別など、まだまだ人でしないと対応できない工程があるので、どうしても人材が必要です。この特定技能で注目すべきポイントは、農業で派遣が認められたことです。
漁業

分野所管行政機関: 農林水産省
[従事できる業務内容]
・漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)
・養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・収穫・処理、安全衛生の確保等)2試験区分〕
受入れ見込人数:9,000人 ※2019年~5年間(最大値)
漁業は近年どんどん就業者が減少している分野で、人材不足が極めて深刻な問題となっています。
沿岸部地域では技能実習生も多く労働していますが、まだまだ人手が取りません。
農業と同じく特定技能の漁業は派遣が認められています。
飲食料品製造業

分野所管行政機関: 農林水産省
[従事できる業務内容]
・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工・安全衛生)〔1試験区分〕
受入れ見込人数:34,000人 ※2019年~5年間(最大値)
機械化(IT化)が進化していますが、どうしても手作業や目視確認作業など、人でないと対応できない工程があります。国内の飲食料品製造業で働く外国人労働者は、10万人を超えています。その外国人労働者の30%以上は技能実習生です。まだまだ人材が不足していますので、特定技能の飲食料品製造業に対する期待は大きいものがあります。
外食業

分野所管行政機関: 農林水産省
[従事できる業務内容]
・外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)〔1試験区分〕
受入れ見込人数:53,000人 ※2019年~5年間(最大値)
外食業は極めて離職率が高い分野です。今回、飲食店のレストランや居酒屋などで接客・調理の仕事が可能となりました。今までは留学生が時間制限の中働いていましたが、特定技能では外国人材の受入れが可能になり、正社員として雇用が可能になりました。現時点ではコンビニ業種は含まれておりません。しかし、今回特定技能での外食業の業務内容で接客が認められていますので、今後コンビニなどの接客業が特定技能の業種に組み込まれていくようになるだろうと思います。
特定技能1号の14業種(産業分野)での受入れ見込数(5年間の最大値)の合計は、345,150人となっています。
特定技能2号
特定技能1号は、一定の知識や経験を要する業務を行う外国人がもつ資格であるのに対し、特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務を行う外国人がもつ資格です。特定技能1号は2019年4月から在留資格の取得要件である業種別の技能試験が国内外で随時行われていますが、2号に必要な技能試験は2021年から始まる予定です。
「特定技能2号」は「特定技能1号」修了者が移行できる資格です。現在、「建設業」と「造船・船舶工業」の2分野のみ1号からの移行が可能です。それ以外の分野では「特定技能」の在留資格で外国人材を受け入れることはできません。特定技能2号を取得するには各所轄省庁が定める技能試験に合格する必要があり、この技能試験に合格すれば特定技能2号を取得することができます。5年という在留期間の制限が設けられている1号に対し、2号は技術、人文知識、国際業務などをはじめとした他の就労可能な在留資格と同様に更新回数に上限はありません。特定技能2号で日本に在住し、条件を満たせば日本での永住権を取得できる可能性もあります。また、特定技能2号は家族の帯同が認められています。
特定技能2号の2業種
[建設業]
建設業での業務は型枠施工、土工、内装仕上げ/表装、左官、屋根ふき、コンクリート圧送、電気通信、トンネル推進工、鉄筋施工、建設機械施工、鉄筋継手があります。
[造船・船用工業]
特定技能1号で紹介しましたが、同様に職種として、溶接、塗装、仕上げ、鉄工、機械加工、電気機器組み立てがあります。
